ヘルスサイエンス

2009 春
ぐっすり眠ってしっかり分泌
成長ホルモンで若々しく

なぜ老化してしまう?

人は誕生した時から歳を重ね、体は常に変化を続けています。20歳頃までは成長していき、成長が止まると今度は否応なく老化へと向かっていきます。そして歳 を重ねるにつれ、体力、運動能力、目、耳、記憶などの機能低下やシワ、白髪など、老化が気になりだすと誰もが「若々しい体を保ちたい」と願うのではないでしょうか。寿命が延び、高齢化が進んだ今、アンチエイジング、抗老化、抗加齢などの言葉をよく目にするのは、人々が〝健康で長生き〟を目指し、そのための研究も盛んに行われているためでしょう。

なぜ、人は老化するのか。その要因にはいくつかの説があるようです。① 「活性酸素」による細胞の劣化、損傷が原因とする説、 ②加齢に伴う「免疫力の低下」が原因とする説、 ③生命の設計図である「DNAの損傷」が原因とする説、④「テロメア」というDNAの一部が少しずつ失われ細胞分裂できなくなる細胞の寿命が原因とする説、そして⑤加齢とともに分泌量が減少する「ホルモン低下」が原因とする説などです。それぞれの説は未だ解明途上で決定的ではなく、これらが複合的に関係して老化すると考えられています。


ホルモンが老化度のカギ?

今回は老化の要因の一つと考えられているホルモンについて注目してみましょう。そもそもホルモンという言葉は「刺激する」という意味のギリシャ語、hormao に由来します。脳や甲状腺、生殖器など、ホルモンを分泌する機能がある内分泌器官からさまざまな種類のホルモンが必要に応じて分泌され、血液にのって全身を巡ります。そして それぞれのホルモンの受容体を持っている特定の器官を刺激して情報を伝え、体の状態を一定に保つよう働きかけるのです。

しかし、ホルモンの中には成長ホルモンや女性ホルモン、男性ホルモンなどのように一定の年齢をピークに加齢にともなって分泌量が減り、老化の要因となるものもあります。そういったさまざまなホルモンと老化との関わりが研究されつつあり、ホルモン分泌量を調べてそのバランスを老化度の指標とする検査などもあるそうです。


成長&代謝を促進!

成長&代謝を促進!

中でも、かつては文字通り体の成長を促すホルモンとして成人後の分泌不足はあまり重視されなかった成長ホルモンについて、成長以外にもさまざまな働きがあることがわかり、その重要性が見直されています。

成長ホルモンは脳下垂体というところから分泌されます。幼児期から成長期にかけては大量に分泌され、筋肉や骨の成長に大きな役割を果たします。10代をピークに分泌量が減り始め、40代には約半分になってしまうといわれています。加齢とともに少なくなりますが、一生を通じて分泌され、体を維持するために働きます。例えば、細胞間のアミノ酸の受け渡しを助け、タンパク質の代謝を促進する働き。アミノ酸はタンパク質の構成成分で、筋肉や臓器、器官などをつくっているので、それを助けることになります。さらに傷ついた細胞の修復、再生に働き、健康な皮膚をつくったり、骨代謝を促して骨を丈夫にしたり、脂質代謝を促して脂肪の分解を助けるなど、全身のさまざまな代謝にも関わっているのです。


若さの秘訣は睡眠

成長ホルモンは絶えず分泌されているわけではなく、夜間、睡眠中に多く分泌されることがよく知られています。まさに「寝る子は育つ」ですが、これは大人になっても同様なのです。睡眠には脳と体を休めて疲労を回復させるという重要な役割があり、眠りにつくと、脳を休めるノンレム睡眠と、体を休めるレム睡眠が約90分サイクルで周期的に訪れます。脳下垂体は睡眠と連動して成長ホルモンの分泌を調節していて、眠りについてから3時間位の間に訪れる最も深いノンレム睡眠時に成長ホルモンが多く分泌されることがわかっています。深い眠りで成長ホルモンが十分に分泌されることによって、細胞の新陳代謝などの働きが発揮され、細胞を若々しく保つことになるのです。睡眠中は他にも代謝や免疫に関係するホルモンが分泌されていますので、睡眠不足が続くと疲労回復ができないだけでなく、分泌不足からホルモンバランスが崩れ、さまざまな代謝が滞り、筋肉の衰え、免疫力低下や老化につながってしまうのです。

また、睡眠不足で肌が荒れてしまった経験、ありませんか。成長ホルモンが減るにつれ、細胞の修復がうまく行われなかったり、細胞分裂によって作り出されるはずのセラミド(角質細胞間脂質)が減ってしまうなど、肌の状態もホルモンの影響が大きいものなのです。


自前の成長ホルモンを活かそう

最近は若さを保つため、アンチエイジング目的で成長ホルモンや女性ホルモンを薬で補う「ホルモン補充療法」というのも可能です。この療法で改善される症状や病気もあることは確かですが、体内ではいろいろなホルモンがいろいろな器官や自律神経系、免疫系などと複雑に関係しながら分泌され、働いています。むやみにホルモンの増減を行ってホルモンバランスが崩れると、その影響がどこまで及ぶかわかりません。副作用が出る場合もあるため、補えば良いというものでもないことを忘れないで下さい。

成長ホルモンが減るから老化するのか、老化するから成長ホルモンが減るのか、というのも議論が分かれるところですが、日常生活の中で十分な成長ホルモンを分泌させることができれば、それに越したことはありません。まずは睡眠時間を確保して、成長ホルモンが分泌される良質な睡眠をとることから始めましょう。

運動後にも成長ホルモンの分泌が増えることがわかっています。運動をすると疲労によって筋肉に乳酸が溜まり、それが疲労の情報として脳に伝わり、筋肉を修復するために成長ホルモンの分泌が促進されるのです。最近話題の「加圧トレーニング」は、腕や脚の付け根に専用ベルトを付け、適正な圧力をかけて運動する特殊なトレーニング法 ですが、血流を制限することによって短時間で筋肉に乳酸がたくさん溜まるため、成長ホルモンが大量に分泌されるのだそうです。でも特殊な筋肉トレーニングをしなくても、ウォーキングやストレッチなどで体を動かして軽い疲労感を感じる程度に筋肉を使い、成長ホルモン分泌を促す刺激を与えることぐらいは日常的にも心がけられるのではないでしょうか。よく動き、よく眠り、成長ホルモンによる細胞の新陳代謝を活発にして、若々しい身体を保ちましょう。


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