ヘルスサイエンス

2009 秋
免疫力を高めて
インフルエンザに備える

ついに!新型インフルエンザの襲来

SARS、鳥インフルエンザ、豚インフルエンザなど、私たちの健康を脅かすさまざまなウイルス。今後、人間にとって最大の敵となるかもしれないとさえ言われています。なぜ今、このようなウイルスが蔓延するようになったのでしょうか。地球環境が問題視される中、ウイルスの世界的流行にも地球温暖化の影響があるとされています。これまで特定の地域にしか生息しなかった病原体が温暖化によって北上したり、生息地が拡大しているのです。また、今や飛行機で人も物も世界中を行き交うグローバルな時代です。感染者や病原体が広がるのは、時間も距離も昔と比べものにならないくらいたやすくなっていることも影響しているようです。

一番心配されるのは鳥インフルエンザやそれが変異した新型インフルエンザの大流行です。インフルエンザウイルスは非常に増殖能力が高く、感染して広がる伝播力も強いのが特徴です。そのパワーはひとつのウイルスが24時間後には百万個に増えるほど。さらに問題なのは、そのウイルスが増殖する際に突然変異が繰り返され、今、流行しているのが弱毒性のインフルエンザだとしても、いつ、致死率の高い強毒性の新型インフルエンザに変身するかわからないことです。また、同時に2種類のウイルスに感染して遺伝子の交換が行われ、本来なら種の壁を超えて感染しにくいはずが、鳥から豚、豚からヒトへと一気に伝播力が強化されたり、薬が効かない強力なウイルスができてしまうこともあるのです。


そもそもウイルスって?

微生物は目には見えなくてもあらゆるところに存在しています。人間の皮膚や体内にも無数の微生物が棲みついていますが、その多くは病気を引き起こすどころか、腸内細菌のように役に立ってくれています。一方で私たちの体に侵入して増殖し、病気を起こす微生物も数え切れないくらい存在します。微生物にはカビや細菌、ウイルス、原虫などのおおまかな区別があり、中でもウイルスはそれ自体が生物かどうか疑問視されるほど異質な存在です。

細菌の大きさが1~10ミクロン(1ミクロン=100万分の1m) なのに対し、ウイルスはさらにその約50分の1程度の18~300ナノメートル(1ナノm=10億分の1m)と極めて小さいものです。細菌はあらゆる細胞と同様に遺伝子(DNA) と、約四千種類のたんぱく質をつくるための情報を持っているため、自身で増殖することができますが、ウイルスは自分を複製するための設計図となる遺伝物質と、ごく少数のたんぱく質を持つだけ。生物の最小単位である細胞にすらなっていません。ですから自身だけでは増殖できず、他の生物の細胞に取り付いてもぐり込み、その生きた細胞を利用して増殖するのです。

私たちの体を構成する細胞は、生命活動を営むために周囲から必要な物質を取り込んでいますが、むろん無差別に取り込むわけではなく、受容体となる鍵穴があり、その鍵を持つ物質だけを取り込みます。ウイルスのような余計なものの侵入を許さないために鍵穴つきの細胞膜に覆われているわけです。しかし、敵もさる者、ウイルスはその表面にあるたんぱく質の突起を合鍵として使い、巧みに細胞にもぐり込んでしまうのです。


ウイルスと闘う免疫システム

そんなウイルスの侵入を防御するために、私たちの体は二重三重のバリアを擁しています。まず第一のバリアが皮膚。皮膚の細胞は何層もの角質層を分裂しながらだんだん表皮へと移動し、最後は垢となって剥がれ落ちていきます。そのためウイルスは表皮細胞に取り付いても増殖しないうちに垢と一緒に外へ捨てられてしまうというわけです。だからウイルスが手についただけではほとんど感染しないのですが、その手で物を食べたり、目をこすったりすると口や喉、そして体内へとウイルスを運ぶことになってしまうのです。

ウイルスと闘う免疫システム

口の中や目、鼻など、表皮ではなく粘膜に覆われているところでは別のバリアで応戦します。それが粘液。粘膜では唾液、胃液、涙、鼻水、尿などがウイルスを 洗い流し、侵入を防いでいるのです。くしゃみや咳などもウイルスを排出しようとして起こる反応であることは言うまでもありません。

それでもスキをついて侵入してきたウイルスに感染してしまったら、さらなる防御システムが作動します。体内の細胞がウイルスに感染すると、ただちにその情報が伝わり、さまざまな反応が起こり始めます。ウイルスに感染した細胞からはウイルスの増殖を抑えるインターフェロン(IFN)という物質が放出されます。中でもIFN – γ(ガンマ)はマクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞といった免疫細胞を活性化して免疫システムを強化する働きでウイルスを迎え撃ちます。これらの免疫システムが働き出すとその証拠に、熱に弱いウイルスを攻撃するために発熱したり、ウイルスを排出しようと吐き気がしたり、免疫系細胞がリンパ節でウイルスの侵入を拒もうと格闘して炎症が起きるため節々が痛んだり、余計な体力消耗を防ぐために眠気が起こるなど、さまざまな反応が現れるのです。


免疫力で勝負!

来るべき新型インフルエンザの流行に備え、ワクチンや抗インフルエンザ薬の準備が始まっているとはいえ、製造には時間もかかり、十分な備蓄が危ぶまれて います。また、肝心なワクチンや薬が変異したウイルスには効かない可能性もあります。だからこそ、頼りにしたいのが自分の免疫力です。もちろん、マスクやうがい・手洗い、人込みを避けるなどの予防策も必須ですが、何より抵抗力、免疫力を高めておくことが自分の身を守ることになるのです。ただし、この生まれ持った免疫力も常に万全の体制で働いてくれるとは限りません。個人差はあるものの加齢による低下は免れませんし、ストレスや生活習慣、食習慣によっても低下します。また、高齢者や幼児、妊婦、または慢性の呼吸 器疾患、心疾患、腎臓病、糖尿病などの持病がある場合は免疫力も弱まっており、重症化の恐れがあるので特に注意が必要です。

日頃から食生活にも気を配り、粘膜を強化するネバネバ系食品、免疫力アップに良いと言われるきのこ類、乳酸菌類、生薬類や、抗酸化作用のあるポリフェノール、ビタミンを多く含む食品などを利用するのも良いでしょう。非常事態に備え、食糧や日用品を蓄えておくことも必要です。そして、基本的なことではあっても、ストレス解消、栄養補給、十分な睡眠で、もしもウイルスに感染したとしても免疫システムがしっかり働く身体、闘える力を備えておくことこそが重要になってくるのです。もう他人事では済まされないのですから。


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