ヘルスサイエンス

2013 冬
冬なのに…、冬だからこそ…、意外と怖い
脱水

冬の脱水

私たちの体は半分以上水でできています。大人は体重の約60%、赤ちゃんでは約80%が水で構成され、体温を調節したり、血液の一部として栄養素や酸素を運んだり、老廃物を排泄するなど、生命を維持する上で重要な役割を果たしています。その水分量は日々、補給と排泄でバランスがとられており、補給は飲み水から約1ℓ、食事から約 1.2ℓ、体内で作られる代謝水が約0.3ℓ、排泄は汗や呼気から約1.2ℓ、尿や便で約1.3ℓと、1日の収支は2.5 ℓもの量になります。しかし、このバランスが崩れて体内の水分が失われてしまうと脱水状態になっていくのです。

脱水というと、汗をかく夏のイメージが強いと思います。確かに気温や湿度が上がる春~夏にかけては熱中症を伴う脱水を起こしやすいのですが、寒く、乾燥する冬でも脱水は起こり、しかも意外と多いのです。なぜ冬に脱水になるのでしょうか。

摂取量
夏のようにガブガブ水分を摂ることがなく、喉の渇きも感じにくくなるため、水分補給を怠りがちになる。

乾燥
いわゆる汗をかきにくくなり、無意識のうちに皮膚や呼気から水分が蒸発する不感蒸泄(ふかんじょうせつ)が増え、いつの間にか水分を失っている。

暖房
暖房器具を使用する上、気密性の高い住居も増えているので、より湿度が低下し、不感蒸泄が増える。

感染症
冬に流行するインフルエンザ、ノロウイルスなどに罹ると、発熱・嘔吐・下痢などにより水分が体外へ出てしまう。

このように、冬は知らず知らずのうちに水分の収支バランスが崩れやすくなっているため、脱水を起こしやすい季節なのです。


脱水を甘くみると…

体重の1~2%でも水分が不足すると喉の渇きを覚え、3~4%減ると強い喉の渇き、食欲不振などが出てきます。4~6%減少では倦怠感、頭痛、嘔吐、めまいなどを起こし、8~10%以上になると完全に脱水状態で意識障害や痙攣などの重篤な症状が出るまでになってしまいます。脱水が怖いのは、体の水分が失われることで血液の濃度も濃くなってドロドロになり、固まりやすくなってしまうこと。血栓(血液の塊り)ができ、それが脳の血管で詰まれば脳梗塞、心臓の血管で詰まれば心筋梗塞になり、命の危険に及ぶ可能性さえあるのです。脳梗塞や心筋梗塞が冬に増えるのは寒さで血管が縮むからだと言われますが、最近はそれだけでなく、水分補給の減少で血液が濃くなることも要因のひとつと考えられるようになりました。

また、汗の成分は99%が水分ですが、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの電解質も含まれています。運動、猛暑、発熱、不感蒸泄などによる発汗、または嘔吐、下痢などで体から水分を失うということは、これらの電解質も失うことになるのです。だから脱水を起こしている時、ただの水やお茶のような電解質をほとんど含まない水分を飲んだだけでは元に戻らないどころか、体液が薄まってしまいます。すると体の水分と電解質濃度のバランスを保とうと利尿作用が促され、薄い尿がたくさん生成されて、さらに水分と電解質が排泄されてしまうことになるのです。


怖い高齢者の脱水

乳幼児や高齢者は脱水になりやすいのですが、特に高齢者の場合、もともと体内の水分が加齢とともに減り、体重の約50%ほどになっていることに加え、次に挙げるようなさまざまな原因から脱水を起こしやすいので注意が必要です。

◆筋肉量の低下
加齢や運動量の減少によって筋肉量が減る。筋肉は体内で最も体液を含んでいる場所なので水分を貯えにくくなる。

◆腎機能の低下
腎臓は毒素や老廃物を尿と一緒に排出する機能があるが、加齢によって機能が低下すると薄い尿がより多く生成され、体内の水分が失われやすくなる。

◆感覚機能の低下
喉の渇きも感じにくくなる。〝喉が渇いていない〟のではなく、〝渇いているのがわからない〟ので、水分補給が遅れてしまう。

◆飲食量の減少
水分は食べ物からも補給しているが、加齢や嚥下機能低下で食事量が減ると水分や塩分が不足しやすい。

◆治療薬の飲用
高血圧をはじめ、さまざまな疾患で服薬している場合、利尿作用を持つものがあり、尿量が増えてしまう。

◆抵抗力の低下
基礎的な体力、抵抗力が低下しており、体調不良や感染症で下痢や嘔吐による水分排出を起こしやすい。

高齢者は自身では脱水に気付きにくいので、周囲からも口の中や腋の下の乾燥、食欲、排尿状況など、脱水のサインを早期に発見して対処することが肝心です。なんとなく元気がなかったり、ぐったりして反応が鈍いというような場合にも脱水を起こしているかもしれません。意味不明の言動や幻覚、幻聴、痙攣や意識混濁などが出てきたら、かなり進行している可能性があります。高齢になるほど脱水状態が進むと急激に重症化しやすいので、脱水が疑われる場合はすぐに医師に相談しましょう。


カンタンな予防法

脱水は予防が大切です。私たちは自分で感じている以上に汗をかいていて、就寝中は呼気による放出も含めれば0.5~1ℓもの水が失われます。起きた時には体はカラカラ、血液ドロドロというわけです。「夜中にトイレに起きたくないから水を飲まない」という人もいますが、脳梗塞や心筋梗塞になるより良いのでは? 就寝前後、入浴前後などのこまめな水分摂取はもちろん、部屋の加湿や食事に汁物を加えるなどで脱水予防を心掛けましょう。

それでも脱水を起こしそうな時に役立つのが経口補水液です。糖分が水分を効率良く吸収する役割をし、失われた水分や電解質を速やかに補給できます。市販品もありますが家庭でも作れるので、いざという時のために知っておくと良いでしょう。みずみずしい身体で、乾いた冬を健康に乗り切りましょう。

《経口補水液の作り方と飲み方》
水1ℓに対し、塩3gと砂糖40gを入れて、溶けるまで混ぜる。レモン果汁を少し入れると飲みやすい味に。成人は1日に0.5ℓ~1ℓ、幼児は0.3ℓ~0.6ℓ程度を、一気に飲まず、ちびちび飲む。


  • ヘルスサイエンス
  • vol.21~30

  • vol.11~20

  • vol.1~10


  • キャンペーン
  • 50周年
  • 展示会

PAGETOP
相談窓口 資料請求・ご購入
フリーコール