ルールを知って健康に役立てる 栄養成分表示浅井フーズ通信

ヘルスサイエンス

2020.12.24

栄養成分表示とは?

食品の箱や袋の裏面にある、【例】のような表示を栄養成分表示といいます。もちろん弊社の健康食品にも記載されています。これを見れば、その食品に含まれ る基本的な栄養成分とカロリーの量がわかります。食品には他にも〝カルシウム入り〟〝カロリーオフ〟など、栄養やカロリーに関する表示がよくありますが、これらを栄養表示といい、何らかの栄養表示をする場合は栄養成分表示も必ず記載しなければならない決まりがあるのです。ただし、例えばパンや手作りのお惣菜など、栄養成分やカロリーについて特に何も書いていない食品もあります。そういう食品には栄養成分表示は義務付けられません。一般消費者に販売される加工食品や輸入食品に栄養表示や栄養成分表示をする場合は、健康増進法の第31条に基づいて「栄養表示基準」というルールに従った表示がされているのです。(鶏卵を除く生鮮食品は表示基準の適用を受けませんが、近年は特定の成分に特徴のある品種などもあるため、栄養表示をしている場合もあります。)

皆さんは食品を買う時、何を基準に選んでいますか? 商品名、メーカー、原材料などの表示を見比べて決めていることでしょう。例えば、なるべくヘルシーなマヨネーズを買いたい、そんな時、このような表示のマヨネーズがあったら、どれを選びますか?(回答は最後に)

カロリーや脂質、塩分が一番低いのはどれでしょう。やはりコレステロール0が良い? そこまで表示を気にしないという方も多いかもしれませんが、今回はこの栄養成分表示について、簡単に解説したいと思います。

栄養成分表示の基本項目

表示基準では、不足や過剰摂取が健康に影響を与えると考えられるカロリーや栄養成分(たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミン)を表示対象に定めて います。このうち、次の5つの項目は栄養成分表示として必ず記載しなくてはならない基本項目で、表示順も決まっており、この他の成分についてはナトリウムの後に表示します。基本項目を簡単に説明しましょう。

①エネルギー…その食品の持つエネルギー、つまり熱量を示します。カロリーが気になるときはこの項目をチェッ クします。

②たんぱく質…消化酵素によってアミノ酸に分解されて吸収され、細胞や筋肉、臓器、皮膚など体の様々な組織の 材料となるほか、エネルギー源としても働く重要な栄養素です。

③脂質…中性脂肪やリン脂質、コレステロールなどのタイプがあり、主にエネルギー源として働き、摂り過ぎると肥満や生活習慣病などの原因になります。

④炭水化物…ヒトの消化酵素でブドウ糖に分解されてエネルギー源となる「糖質」と、消化されない「食物繊維」 を合わせた総称です。糖分の量を見たい時はこの項目をチェックします。

⑤ナトリウム…主に食塩として食事から摂取され、細胞内外の浸透圧調節のほか、様々な生理学的機能に関わる、 生命活動を維持する上で必須のミネラル。食塩はナトリウムと塩素が結合してできているので、気になる食塩の量は〔表示のナトリウム量(㎎)× 2.54÷1000 〕で食塩相当量(g)に換算することができます。

単位・表現・量に注意!

表示量は、100g、100mlなどの単位当たりの含有量で表示します。1食分当たりとか1包装当たりの表示もありますが、その場合はその量も併記されています。身近にある食品の栄養成分表示を見てみるといろいろな単位の表示があるでしょう。ここで気をつけなければいけないのは、冒頭の【例】のように、商品によって単位が違う場合があることです。単位も忘れずにチェックした上で比較しなくてはいけません。なお、βカロテンや葉酸などは、原料となる野菜の収穫地域や時期によって含有量が異なるため、幅を持 たせた量の表示になっていることもあります。

ところで、特定の栄養成分に〝たっぷり〟とか〝ひかえめ〟などの表現がされている食品はたくさんあります。そのような積極的に摂りたい成分や、控えた方が良い成分・カロリーについて表示することを強調表示といいます。強調表示ができる基準値が定められている栄養成分は、その含有量によって、含有・使用・高・豊富・増・アップなど、あるいは無・ゼロ・ノン・オフ・ライト・減など、可能な表現が分類されており、それぞれの条件を満たしていなければ強調表示はできません。そして〝低コレステロール〟などの強調表示をした場合は、栄養成分表示の5項目の後にコレステロール含有量も表示されています。キャッチコピーのような表現だけで強調表示をすることはできないのです。

また、飲料は20kcal/100ml以下だと低カロリーと表示ができますので、例えば、〝低カロリー〟と書いてある飲料の栄養成分表示に100ml当たり18kcalと表示され ていたとします。でも、500mlペットボトルだとすると1本飲めば90kcal。意外とカロリーがあることになります。さらに、カロリーは5kcal/100ml未満なら「ゼロ」と表示できます。つまり、〝ゼロカロリー〟と書いてあっても全くのゼロではない場合もあるわけです。

糖質と糖類は違う?

発泡酒などでよく宣伝されている〝糖質オフ〟〝糖類ゼロ〟などの表示。なんとなく健康に良い感じがしますが、違いがわかりにくいですね。ご飯やパン、麺類 などのイメージがある炭水化物ですが、摂取すると食物繊維と糖質に分かれ、糖質は消化・分解・吸収されていきます。糖質のうち、二糖類と単糖類は糖類に分類されます。〝糖類ゼロ〟と表示してあっても、糖類には入らない甘味料などが含まれていることがあるのです。つまり〝糖質ゼロ〟の方がより糖分が少ないということになります。

栄養成分表示は、一定のルール化によって消費者に適切な情報を提供することを目的として表示されています。それでもひとめでわかる表示ばかりとは限りませんが、強調表示だけに惑わされず、栄養成分表示も参考にして食品や飲料を賢く選びましょう。

【例】の回答:AもCも10g当たりに換算して栄養成分を比較すると…カロリー・脂質が気になる人はA、糖質や塩分が気になる人はCを選ぶと良いことがわかりますね。

参考資料「栄養表示基準H15.4.24.厚生労働省告示第176号」、東京都福祉保健局パンフレット「栄養表示基準・誇大表示について」、他。(強調表示可能な栄養成分やその具体的な基準値等、「栄養表示基準」についての詳細はこれらの資料等をご覧下さい)

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