今からでも遅くない! ストレッチ浅井フーズ通信

ヘルスサイエンス

2020.12.24

柔軟性がポイント

年齢を重ねていくと、日常生活の中のちょっとした動作がスムーズにいかない不便さが出てきます。加齢や運動不足により、筋肉が硬くなって弾力がなくなり、関節の柔軟性が低下することが原因のひとつです。この場合、柔軟性というのは、関節の可動域の大きさ、つまり、関節がどれだけ大きな範囲で動かせるか、を示します。関節は骨と骨とのつなぎ目がゴムのような膜で覆われており、その中に潤滑油の役目をする滑液が分泌されています。さらにそれらの外側を靭帯や筋や腱がつないでいて、曲げたり伸ばしたり回したりする動きを担っています。収縮と弛緩によってその動きを支えている筋肉は、動かすことが少なかったり力が入り続けた状態でいると硬くなり、筋肉量も減ります。弾力のない、縮こまった筋肉は伸縮性が低下するため、その筋肉が支えている関節も曲がりにくくなってしまいます。それが関節痛となる場合もあるのです。

また、筋肉が硬いと血流も悪くなり、疲労が取れにくく、肩こりや腰痛などを招きます。そんな筋肉や関節を柔らかくほぐすために効果的なのが「ストレッチ」です。

誰でもできるストレッチ

「ストレッチ」は〝伸ばす〟という意味で、その名の通り、筋肉や腱を伸ばす運動のことをいいます。筋肉はその両端が一つ、または複数の関節をまたいで骨についています。その関節をできるだけ曲げたり伸ばしたりする動作によって、筋肉をその両端の腱から引っ張って伸ばしてほぐし、動きやすくしていくのです。ストレッチには何種類かの方法がありますが、主なものとして次の二つがよく知られています。

●静的ストレッチ
勢いをつけずに、ゆっくりと筋肉を伸ばしていくストレッチです。一般的にも広く普及している方法であり、ヨガやピラティスもこのタイプの運動です。筋肉にダメージを与えることなく伸ばすことができます。

●動的ストレッチ
反動や弾みをつけながら筋肉や腱を伸ばしていくストレッチです。ラジオ体操やエアロ ビクスなどはこのタイプの運動です。スポーツ前の準備運動などにも利用されますが、急激に行ったり、過度な反動によって筋肉を傷めないように注意が必要です。

ストレッチには道具は何もいりません。誰でも、いつでも、体の状態に合わせて、自分のペースで気軽にできるのが良いところです。

ストレッチの効果

では、ストレッチを行うことによって、どんな効果が期待できるのでしょうか。

●柔軟性のアップ
まず、一番の効果は筋肉や関節の柔軟性の向上です。子供の頃にはらくらくできた体の曲げ伸ばしも、年をとるにつれ、思うようにできなくなってしまいますね。加齢や運動不足、疲労によってこわばった筋肉を柔らかくほぐすことによって、筋肉が伸びやすくなり、関節も大きく動くようになります。関節の可動範囲が広がれば動作がスムーズになる。つまり、体が動かしやすくなるということです。

●ケガの予防
ケガの予防もストレッチの目的の一つです。筋肉は急に伸ばそうとすると、反射的に縮もうとする反応を起こします。これは、筋肉が硬くなっていたり疲労していると起こりやすいため、急に激しい動きをすると筋肉が痛み、肉離れやけいれん、断裂などを引き起こします。 ストレッチによって筋肉を柔らかくしておくと、収縮しようとする反応がゆるやかになって自然に筋肉が伸びるようになり、とっさの場合にも体が動くのでケガを防げるのです。高 齢になるにつれて増える転びやすさやケガも、筋肉や関節の柔軟性の衰えから足首や膝などが思うように動かせないことが原因となる場合も多いので、それらの予防にもなります。 また、関節や筋肉のケガをした場合でも、一定期間の後、徐々にストレッチでリハビリ運動をすることでケガをした組織の修復が早まり、早期回復にもつながります。

●血液循環の改善
ストレッチで筋肉の緊張を解くことにより、血液の循環が良くなります。すると筋肉へ十分な酸素や栄養素が運搬され、エネルギーの消費効率も高まります。また、筋肉中の老廃物や乳酸などの疲労物質の排出が促され、筋肉のコリや痛みも和らぎます。血流が良くなった筋肉はその温度も上がることになり、伸びやすくなるので柔軟性もアップします。筋肉の伸び縮みの動きはポンプ作用となって血液やリンパの流れを促す働きがあるので、むくみや冷えの予防にもなります。

ストレッチのコツ

ストレッチの基本的な方法は、関節をゆっくりと曲げられるところまで曲げる、または伸ばせるところまで伸ばすことによって筋肉を伸ばすことですが、いくつかのコツを忘れずに行うとさらに効果的です。

①リラックスして、安定した姿勢で行いましょう。伸ばしたい筋肉の緊張を解いておかないとしっかり伸びません。痛みを感じない範囲で心地よく伸ばしていくことが大切です。

②息を止めると力が入り、筋肉も緊張してリラックスしにくいもの。呼吸を止めずに、ゆっくりと息を吐きながら伸ばすことを意識しましょう。

③ある筋肉を伸ばしたら、その姿勢を10~30秒保つようにします。長ければ良いというわけではないので、筋肉が気持ちよく伸びていることを感じながら伸ばしましょう。

④ストレッチは1回で効果が出るものではありません。少しずつでも、継続することが大事です。繰り返し行うことで徐々に筋肉や関節が柔らかくなり、動きが楽になります。

⑤体が冷えていると筋肉は伸びにくいものです。入浴後は筋肉も温まり、精神的にもリラックスしているのでストレッチには最適な時間帯。お風呂上りの習慣にすると良いですね。

何もしなければ筋肉は衰えていくだけです。年齢に関わらず、刺激した分だけ筋力はアップしますし、ストレッチによって腰痛や膝痛が改善することも少なくありません。さっそく今日からストレッチを始めてみませんか。

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