お肌の酸化浅井フーズ通信

スキンケア研究室

2020.12.19

酸化ダメージはジワジワと

  • ひなこ

    今年の夏も暑かったですね。

  • ノン子

    ホントね。もう秋なんか来ないんじゃないかと心配したわ。

  • ひなこ

    ギラギラの紫外線が治まって、やっと安心して外を歩けます。

  • ノン子

    そうね。日焼け症状を起こすような紫外線のUVBは弱くなったわ。でも、波長が長く真皮まで届く紫外線のUVAは一年中降り注いでいるし、涼しくなったからと言って空気中の環境汚染物質が減るわけではないわ。こういうものがお肌の中で活性酸素を発生させて、ゆっくりと酸化ダメージを与えて行くのよ。これから気温が低くなると、お肌の体力も落ちてくるから要注意よ。

  • ひなこ

    出た、活性酸素! 日差しが柔らかくなっても油断してはいけないんですね。

  • ノン子

    そうよ。ということで今日はお肌の酸化ダメージについて考えてみましょう。

活性酸素は悪玉か?

  • ひなこ

    それにしても、酸素がなければ人も動物も植物も生きてはいけないのに、なぜ活性酸素は嫌われるのでしょう?

  • ノン子

    本来は活性酸素も生命活動に必要なものなのよ。人は食べ物から摂った栄養素を呼吸から得た酸素を使って燃やしてエネルギーに変えているのだけれど、取り込んだ酸素のうち約2%が活性酸素に変わるそうなの。ここでできた活性酸素は、侵入してきたウィルスや細菌を攻撃したり、役目を終えた細胞を処理したりするのに有効に使われるのよ。

  • ひなこ

    活性酸素はもともとは体を守るために発生していたんですね。

  • ノン子

    問題は、時として必要以上に活性酸素がつくり出されてしまうことなの。細菌をやっつけられるくらい強力だから、健康な細胞まで傷つけてしまうのよ。そのため、身体には活性酸素が暴走しないように、不要な活性酸素を消去したり働きを阻止したりする仕組みが備わっているのです。例えば〝抗酸化酵素〟ってきいたことがあるでしょ?

  • ひなこ

    はい。それが活性酸素をやっつけてくれるんですか?

  • ノン子

    何かの原因で活性酸素が余分に発生すると、細胞の中にある抗酸化システムのスイッチが入って、DNAに指令を与えて活性酸素を消去する酵素を作らせるのよ。

  • ひなこ

    活性酸素自身がスイッチを入れていることになるんですね。面白いなぁ。

  • ノン子

    身体の仕組みって良く出来ているわね。でも抗酸化酵素の生成能力は、20歳くらいをピークに段々落ちて来てしまうのよ。40代になると、ピーク時の半分くらいにまで減ってしまうそうなの。

  • ひなこ

    そんなに減ってしまうのですか。私はまーだまだ大丈夫ですけど。

  • ノン子

    何か言った? 生命活動以外にも紫外線や環境汚染物質の刺激によっても活性酸素が発生するから、それらに常にさらされているお肌は特に酸化ダメージを受けやすいのよ。細菌から守ってくれるのだから善玉とも言える活性酸素だけど、お肌にとってはなるべく発生させたくないものね。

酸化ダメージは止まらない

  • ひなこ

    健康な細胞まで傷つけるということですが、活性酸素のターゲットになりやすいところみたいなのがあるんですか?

  • ノン子

    まずは細胞膜ね。細胞膜には脂質の中でも酸化されやすい不飽和脂肪酸が多いから、活性酸素の格好のターゲットになるのよ。

  • ひなこ

    不飽和脂肪酸が酸化されると過酸化脂質になっちゃうんですよね。

  • ノン子

    過酸化脂質は周りも酸化してしまう性質があるから、少しでも過酸化脂質ができるとそれが隣の脂質を酸化してしまう、次にまたその隣の脂質を酸化する、と反応が連鎖して行くの。最初に発生した活性酸素は一部の細胞膜を酸化した後さっさと消去されてしまうのだけれど、その影響がいつまでも残り、挙句の果ては細胞膜が傷んで細胞の活動が悪くなり、細胞そのものが劣化、すなわち老化してしまうの。放っておくとやがてお肌のターンオーバーも乱れ、メラニンも溜まってシミが出来たり、真皮まで酸化されると、ハリがなくなったりシワになったり…

  • ひなこ

    何となく肌荒れする、乾燥しやすくなった、ニキビや吹き出物が出やすくなった、なんていうのもその兆候かもしれませんね。

酸化ダメージは減らせる

  • ひなこ

    酸化ダメージ、侮れないですね。細胞が老化するということは、お肌だけじゃなく全身の老化に関わることですものね

  • ノン子

    その通りよ。活性酸素は身体にとって何か有害なことが起こると発生するの。だからタバコを吸ったり、ストレスを受けたりすることでも発生するのよ。

  • ひなこ

    えっ、ストレスって活性酸素まで発生させちゃうんですか?

  • ノン子

    そうなの。ストレスを受けると、それに対抗するために副腎皮質から抗ストレスホルモンが分泌されます。その時に一緒に活性酸素もつくられてしまうのよ。

  • ひなこ

    ストレスやタバコは身体にもお肌にも良くない、と言われていますが、酸化ダメージが関わっていたからなのですね。

  • ノン子

    とにかく活性酸素がつくられないようにすることが何よりね。紫外線を防ぐ方法はいろいろあるし、ストレス解消の方法も見つけられると思うわ。それと、うれしいことに抗酸化機能を持つ栄養素を摂ることも良いのよ。

  • ひなこ

    それなら得意です。ビタミンCやビタミンE、リコピンやβ‐カロテンなどの色素、ピクノジェノールなどのポリフェノールといろいろありますね。

  • ノン子

    もう一つうれしいことに、抗酸化成分の入った化粧品をあらかじめお肌にぬっていると、抗酸化システムが働きやすくなる、というデータが出ているのです。

  • ひなこ

    抗酸化成分なら アクティストシリーズにも入っていますね。ところで一つ気になるのですが、活性酸素でなくても空気中の酸素に触れていると、皮脂膜とか化粧品に含まれる脂質も酸化されるのではなかったでしょうか?

  • ノン子

    その通りだけど、普通の酸素による酸化は穏やかに進むので、それくらいなら1日2回、石けんできちんと皮脂ごと洗い流すことで害は防げます。ただ、就寝前の入浴時に洗顔する方は、時間が遅くなりがちなので、帰宅してすぐに洗顔だけ済ませると良いですよ。

参考文献

  1. 小林枝里、日高高徳、山本雅之:表皮の酸化ストレスとその防御機構,FRAGRANCE JOURNAL,41(2),16(2013)
  2. 居原 秀、井田智章、赤池孝章:活性酸素シグナルの調節機構- ROS 毒性説から脱却した新たな概念- , FRAGRANCE JOURNAL, 41(2),75(2013)
  3. 吉木伸子:素肌美人になるためのスキンケア美容医学事典,池田書店(2011)
一覧へ戻る
pagetop