モイスチャーバランス浅井フーズ通信

スキンケア研究室

2020.12.11

夏のトリプルパンチ、そして秋…

  • ひなこ

    風が気持ちよいですねー。秋が来てくれて良かったー!

  • ノン子

    同感!お肌にとっても長―く厳しい夏だったわね。

  • ひなこ

    せっかくつけたローションもエッセンスも、すぐに汗と一緒にふき取ってしまうようでした。そうかといって、冷房の効いた部屋に居るとだーんだんお肌が乾燥して来るし…ここのところやっと落ち着いてきました。

  • ノン子

    落ち着いてきたようでも、日差しと汗と冷房のトリプルパンチを受けて、お肌にも疲れがたまっているかも知れないわよ。モイスチャーバランスを意識してスキンケアしてあげましょう!

保湿システムの解明

  • ひなこ

    モイスチャーバランスとは、お肌の水分とNMF(天然保湿成分)と脂質とのバランスのことですね。この3つが適切なバランスを保っていると、潤って透明感と柔軟性のあるお肌になるんですよね。

  • ノン子

    昔からきれいな肌が好まれたし、健康なお肌は大切だったから、人は油をぬるなどしてお肌を守ってきたのよね。近代になってお肌の構造や働きが研究されて、お肌が美しく健やかな状態にあるためには表皮の最外層を覆う角質層に20~30%の水分が必要であること、そのためにお肌には三大保湿システム(図a)があることがわかってきたの。保湿システムを解明するために、こんな実験が行われたのよ。

  • ひなこ

    アセトンに浸けたときに、脂分すなわち皮脂膜や細胞間脂質が溶け出し(図b)、その後水に浸けたところで〝保水力のあるもの〟が抜け出して、角質片が乾きやすくこわれやすくなってしまったんですね(図c)。

  • ノン子

    当たり! その〝保水力のあるもの〟こそがNMF(天然保湿因子)だったの。そして水だけに浸けた時にはそういう現象が起こらなかったことから、細胞間脂質がNMFの流出を防いでいることもわかったの!

  • ひなこ

    なーるほど! でもこれは、はがれた角質での実験ですね。実際の皮膚ではどういうことになるのでしょう?

  • ノン子

    別の実験で、腕の内側を1分、10分、20分と時間を変えて脂質を溶かす溶剤に浸してみました。その結果、1分浸した部分は、直後は白く、荒れているよう に見えたけれど、翌日には元に戻っていました。10分では、4日目に荒れは直ったけれど浸した跡は残っていたの。そして20分浸した部分は、1週間経っても荒れたままだったの。この時の皮膚の水分量は、溶剤に浸けていた時間が長い部分ほど減っていたの。

  • ひなこ

    わー、すごい実験ですね…なんて献身的な人がいらっしゃるんでしょう!

  • ノン子

    本当ね、頭が下がるわ。おかげで、肌荒れと脂質の関連がはっきりしたのよ。簡単に説明すると、1分では皮脂膜がすっかり落ちた状態、10分以上では皮 脂膜だけでなく、細胞間脂質まで取れてしまった状態なの。皮脂膜だけなら回復は早いけれど、細胞間脂質まで取れてしまうと肌荒れ状態からなかなか抜け出せなくなる、ということね。

  • ひなこ

    長い時間溶剤に浸けたところだって、その後も皮脂は出ているはずなのに、どうしちゃったんでしょう?

  • ノン子

    皮脂というのは、皮脂腺から分泌された脂質と細胞間脂質とが混じりあったものをいうのよ。だから細胞間脂質がないと、皮脂膜も完成しないの。

  • ひなこ

    うーん、そうだったんだ!

化粧品にできること

  • ひなこ

    三大保湿システムは、全て皮膚が自ら作り出しているんですよねえ、すごいなあ…

  • ノン子

    お肌の調子が良ければターンオーバーの過程でNMFも脂質類も適度に作り出す力があるから、自然とモイスチャーバランスも取れるのよ。ただ、その力 も空気の乾燥や紫外線、加齢とともに弱ってしまうの。もちろんストレスも影響するわ。特にいつも外気に晒されている顔は環境の影響を受けやすく、ターンオーバーが乱れ、保湿成分が十分に作られずに乾燥しやすくなるの

  • ひなこ

    そこで、スキンケア化粧品の登場ですね。

  • ノン子

    お肌の状態に合わせてNMFや脂質を配合した化粧品を使っていると、一時的な補助になるだけでなく、本来のモイスチャーバランスを取り戻す効果のあ ることも証明されてきているわ。お肌は大切なバリアです。お肌に合った化粧品で適切なスキンケアを続けましょう。

参考文献

  1. 鹿子木宏之、大森隆司:最近の保湿研究と保湿剤の開発動向,FRAGRANCE JOURNAL,33(10),14 ~19,(2005)
  2. 田上八郎:皮膚のバリア,保湿メカニズム研究の進歩,FRAGRANCE JOURNAL,36(5),15 ~ 21,(2008)
  3. 宮路良樹:臨床医のためのスキンケア入門,先端医学社(1997) 服部道廣:スキンケアの科学,裳華房(1999)
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