ARTICLEAsai Foods通信

ヘルスサイエンス

2020.12.24

使って元気、休ませてイキイキ 脳からの健康

誰の脳もスゴイ

どんな美人にもイケメンにも、子供にもお年寄りにも、頭にはあのシワシワの「脳」が詰まっています。ちなみに、よく「脳を使うと脳のシワが増える」と言われますが、シワの数は皆ほぼ同じで数が変わることはないのだそうです。当たり前のように考えたり、判断したり、記憶したり、運動できているのも脳のおかげ。嬉しい!、悲しい…、好き、嫌いなどのさまざまな感情も脳の働きで生まれています。

脳は大きくは大脳、小脳、脳幹の3つの部分に分けられます。さらに大脳には情報処理や思考、記憶など知的な働きをする大脳新皮質、感情や本能的な活動を司る大脳辺縁系、自律神経や呼吸、血液循環、体温調節のような生命維持に働く間脳など、いろいろな部位に分かれていて、それぞれが重要な役割を担っています。

また、脳は千数百億個以上も存在する神経細胞(ニューロン)と、その間を埋め、神経細胞に栄養を送るなどの活動をするグリア細胞でできています。神経細胞同士は、そのつなぎめとなって情報を伝えるシナプスや神経線維によってネットワークが築かれ、情報が行き来しています。全身の皮膚や筋肉をはじめ、すべての細胞から神経を通してあらゆる情報が脳に送られ、その情報に対応する脳からの指令が即座に全身に送られるのですから、その情報処理量たるや複雑で膨大です。例えば、皮膚が気温の高さを感じればそれが脳に伝わり、汗をかく指令を出して体温を下げるのも皮膚と脳の連携プレーというわけです。

人間らしさを作る〝記憶〟

脳の大切な働きのひとつに「記憶」があり、私たちの脳はとても多くのことを記憶する能力を持っています。それでも、人の名前など、覚えたはずなのに忘れてしまうことはよくあります。ところが、ふとしたきっかけで思い出したり、ずっと昔の記憶をふいに思い出すこともあります。こういった〝物忘れ〟が起こるのは記憶が完全に消えてしまうわけではなく、残ってはいるけれど、それを引き出せなくなっているからだと言われています。これはマウスを使った実験で科学的にも証明されたそうです。そのため、一見忘れてしまったように思える記憶も、神経細胞への刺激で甦らせることが可能だと考えられるようになりました。

ところで、記憶はどのように脳に収められるのでしょうか。私たちが見たり聞いたりして得た情報は脳の中の各感覚器を経て「海馬」という器官に集められます。記憶は覚えていられる時間の長さによって短期記憶と長期記憶に分類されますが、海馬は短期しか記憶できません。そのため、情報を整理して、忘れても良い情報は早々に削除し、大切な情報だけを脳に収納する〝仕分け〟をして長期記憶にしているのです。情報はそのままではなく、例えば〝リンゴ〟を記憶する場合、名前、色、形、味などに分けて、それぞれ脳の中の別々の部分に収納されることがわかっています。記憶を含め、脳の中でも特別な働きをしているのがおでこのすぐ裏側にある前頭前野です。ここは動物と人で大きく違う部分で、記憶を定着させたり、逆に引きだしてきたり、感情のコントロールや状況に応じた判断などに関わる高度な情報処理をしています。まさに人間らしさを作り出している部分なのです。

脳も疲れる

私たちが生きている限り、脳は働き続けています。中でも間脳の視床下部は、たとえ睡眠中でも全身を監視しながら自律神経やホルモン分泌などを調整し、身体を一定の状態に保とうと不眠不休で働いています。そのおかげで、呼吸や脈拍、体温などが維持されているわけですが、私たちが起きている間、常に思考や判断をし、指令を出したりして働き続けていると、脳もやはり疲れてしまいます。脳は疲れが溜まると集中力や判断力などが低下するため、十分な休養を必要とします。眠くなるのは「休ませてくれ」という脳のサインなのです。睡眠は「記憶」のためにも必要で、脳は睡眠中にその日の経験を復習して記憶として定着させています。また、グリア細胞が脳の老廃物廃棄を促す時間でもあるので、脳の健康を保つためには睡眠が不可欠なのです。

でも、現実には脳の思い通りに休息できる生活をしている人ばかりとは限りません。特に現代人の脳は常に膨大な情報を受け取って処理し、さまざまなストレスに晒されながら対処しなければならず、相当な負担がかかっているはずです。体が疲れて動けなくなるのと同じで、脳も疲労が溜まれば対応や判断、指令にミスが出始めます。すると、指令ミスを受ける自律神経のバランスは崩れ、五感も狂い出し、身体のあちこちに影響が及びます。これが最近よく耳にするようになった「脳疲労」の状態なのです。脳疲労が慢性化すると心や体に異常が出て、生活習慣病をはじめとするさまざまな疾患にもつながると考えられています。

脳にイイコト

脳は情報のやりとりが繰り返されるほど、また、新しい情報がやりとりされるほど神経細胞が活発に働き、神経線維は太くなり、新しいシナプスがどんどんでき、情報がスムーズに行き来できるようになるのですが、情報やストレス過多による偏った処理作業の繰り返しやオーバーワークは脳疲労の元となります。使い過ぎず、きちんと休息をとり、疲れにくい脳に保つことが全身の健康にもつながるのでしょう。

◆適度な刺激…
音読や計算、指先や五感を使うことは脳の適度な刺激となり、効果的です。さらに、最近はつい何でもスマホやパソコンで調べ物をしがちですが、紙の辞書を使って調べる方が脳がよく働くのだそうです。また、電話やメールで用件を伝えるよりも、直接会って、顔を見て話す方が脳はよく働きます。

◆適切な栄養…
脳が効率良く活動するためには、ブドウ糖がエネルギー源となることはよく知られていますが、脳も皮膚や筋肉などと同様〝細胞〟でできているので、神経細胞や神経繊維、シナプスをつくる材料や栄養となるタンパク質、アミノ酸、リン脂質などの成分も必要です。

◆リラックス…
脳の休息には睡眠以外に音楽を聞くこともおすすめです。また、テレビやスマホを見たり、テレビゲームをしたり、ボーっと考え事をしている時も、意外と脳の多くの部分が休んでいるのだそうですよ。だからといって睡眠時間を削るほどのスマホ依存症には気をつけて。

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