高齢者も免疫力アップで延ばす 健康寿命浅井フーズ通信

ヘルスサイエンス

2020.12.24

健康寿命

「健康寿命」という言葉をご存じですか?単に寿命の長さを示す平均寿命に対して、健康寿命は、病気やけがなどで生活に支障を来したり、介護等に頼ることなく、自立した生活ができる生存期間を指します。簡単に言えば、健康に生きられる年齢のことで、WHO(世界保健機関)が2000年に提唱した概念です。日本は平均寿命も健康寿命も世界のトップではありますが、平均寿命より健康寿命が10年前後も短いという状況です。つまり、亡くなるまでの10年近くは病気や骨折、寝たきり、認知症など、さまざまな理由で誰かに助けてもらわなければ生活できない人が多いということです。健康な状態での長寿、「健康寿命」が延びて平均寿命との差がなくなるのが理想ですが、なかなかそれは難しいようで、歳をとるにつれ、がんをはじめ、いろいろな疾患を発症する人が増えているのが現状です。これは免疫機能の低下が大きな要因と言われているのです。

健康を守る! 免疫力

「免疫」という言葉はもうすっかりお馴染みですね。私たちのまわりには病原菌やウイルスなどが存在していますが、それらがからだに侵入しようとする時、または侵入してきたとき、自分と自分でない異物を見分けて、異物である敵を攻撃・排除することで病気の予防や回復に働き、からだを守ってくれる体内のしくみが免疫です。免疫機能を十分に働かせることが私たちの健康を左右すると言っても過言ではありません。

免疫にはさまざまな性質や役割を持つ免疫細胞たちが関わっています。その多くは全身を巡る血液の中の白血球に含まれていて、さらにその約 30 %を占めるリンパ球が免疫の中心的な働きを担っています。例えば、異物や死んだ細胞を見つけて捕食するマクロファージ、外から入ってきた病原菌に反応して増えて攻撃したり、病原菌に抵抗するための抗体をつくるB細胞に指令を出すなど、免疫の司令塔となるT細胞、がん細胞や異物を直接攻撃することで知られるNK(ナチュラルキラー)細胞などが全身で働き、からだを守っているのです。

免疫力も老化する

そんな免疫力もストレス、運動不足、食生活など、さまざまな要因によって機能が低下してしまいます。でも免疫力低下の一番の要因は加齢による老化なのです。免疫力は乳幼児では低く、成長するにつれて高まり、20 歳前後にピークを迎えますが、それを過ぎると加齢とともに徐々に低下し、40代で50 %、70代では10%まで低下することもあるそうです。これは老化に伴い胸腺というT細胞を教育する器官や、リンパ球がたくさん集まる脾臓が萎縮してしまうことなどが影響すると考えられています。特に胸腺の萎縮によってT細胞が減少してしまうと異物を認識する能力が低下し、異物の見逃しミスや攻撃対象の判断ミスなどにつながります。だんだんマクロファージも減少し、NK細胞も元気がなくなっていきます。また、加齢によって胃腸も弱くなり、腸内細菌のバランスが崩れ、免疫の最前線でもある腸内環境が悪化することも免疫力低下につながります。こうして高齢になるに従って免疫力が低下するため、防御態勢が弱まり、さまざまな病気や感染症に罹りやすくなり、がんの発生を抑えきれなくなるという事態が発生してくるわけです。

免疫力低下でコワイのは…

免疫力や体力が低下した高齢者に増えてくるのが肺炎やがんです。肺炎は今や、がんや心臓病に次ぐ日本人の死因第 3 位の疾患です。肺炎の原因はマイコプラズマやインフルエンザなどの細菌やウイルスの侵入が主で、これは老若男女に共通することですが、症状が発熱や咳、痰など、風邪と似ているため、発見が遅れがちです。「風邪だと思って様子をみていたら、実は肺炎になっていた」というケースも多いのです。特に高齢者の場合は免疫力低下によって抵抗力がないため症状が乏しく、本人からの訴えも少ないので、さらにリスクが高まります。なんとなく元気がない、食欲が落ちた、反応が鈍いなど、普段との様子の違いを周囲の人が見逃さないことが早期発見・治療につながります。肺炎の原因として圧倒的に多い感染性の肺炎球菌は予防接種が効果的なので、平成 26 年からは 65歳以上を対象にワクチンが定期接種化されています。

一方、がんは健康な人でも毎日 3 千~ 5 千個ものがん細胞が体内で生まれているといいます。だからといってすぐに発症するわけではないのは免疫機能のおかげです。全身をパトロールしている免疫細胞ががん細胞の発生を発見するやいなや情報を伝え、攻撃が開始され、がん化を防いでいるのです。ところが、免疫機能が低下すると、がん細胞の監視や攻撃態勢が弱まり、がん化する確率が高くなってしまいます。また、がんの治療や薬剤はがん細胞を攻撃する反面、患者の状態によっては副作用で体力も奪います。ますます免疫力が低下し、複合的なダメージを受けてしまうのです。

免疫力アップで健康・長寿

高齢になると、高齢者ならではのからだの変化、特徴が出てくるので、より体調に注意が必要です。老化によって体温調節機能や感覚機能も低下します。血流や発汗などの調整力が弱くなり、汗をかきにくく、体が冷えやすくなります。体を動かすことが減って血流も悪くなるので体温そのものが低めになり、暑さ、寒さの感じ方が鈍くなります。喉の渇きにも気付きにくく、いつの間にか脱水状態になっていることも。脱水は認知症や熱中症の原因ともなるので、高齢者の水分管理は重要です。そして覚えておきたいのが、高齢者の疾患は症状があまり出ないうちに進行するということです。感覚が鈍くなって痛みを感じにくかったり、発熱もしにくくなっているため、 37℃台でも実は重症という場合があるのです。一旦、疾患に罹ると治りが悪く、慢性化しやすいため、いくつもの疾患をあわせ持つ人が多いことも特徴です。

人に頼らなければならない生活は家族や周囲の負担になり、本人にとっても辛いものです。そうならないためには、なるべく免疫力の低下を食い止めることです。免疫細胞が元気に働く健康なからだ、若々しい血液は主に食べるものや生活習慣によって作られます。バランスの良い食事、睡眠による休息、適度な運動、ストレスの軽減、それらをサポートする健康食品なども積極的に取り入れ、免疫力を老化させない努力で健康寿命を延ばしましょう。

一覧へ戻る
pagetop