糖化と老化浅井フーズ通信

スキンケア研究室

2020.12.23

料理のコゲがお肌にも?

  • ひなこ

    この間ウワサのパンケーキを食べに行ったのですが、評判通りの味と見事な焼き色に感動しちゃいました。

  • ノン子

    パンケーキの焼き色は、卵や牛乳のタンパク質が加熱調理によってお砂糖と結合し糖化反応を起こしてできたものなのよ。発見した人の名前からメイラード反応とも言われるの。

  • ひなこ

    いきなり難しい話に入りましたね。

  • ノン子

    大切なことなのでね。実はこの糖化反応はヒトの体内でも起こっているのよ。

  • ひなこ

    えーっ!  体温じゃパンケーキは焼けないですよ。

  • ノン子

    高温でなくても徐々に起こってしまうから困りものなのよ。身体の中では食べ物から摂ったブドウ糖や果糖などがいろいろな組織のタンパク質と結合してしまうのよ。

  • ひなこ

    もし、身体の中でその反応が起こるとどうなるんですか? まさかあちこちに焼き色がついちゃうとか。

  • ノン子

    それが、いろいろなトラブルの素になるのよ。糖化されたタンパク質は変質してそれこそ焼き色がつくように茶色っぽくなったり、本来の機能を果たせなくなったりするの。例えばお肌で糖化反応が起こるとこんなことになるのよ。

  • ひなこ

    何と、くすみ・シミ・シワ・ たるみなどお肌のトラブルの殆どに糖化反応が関わっていたのですね。

摂りすぎに注意

  • ひなこ

    でも、糖質は脳や筋肉が働 くためのエネルギー源として欠かせないものですよね。

  • ノン子

    そうなのよ。要するに食べ過ぎなければ大丈夫なのよ。健康な人でも糖質を食べると食後 45 分~ 60分に血糖値が上がります。そうすると、膵臓からインスリンというホルモンが出てきて脳や筋肉の細胞に働きかけ、血液中の糖をエネルギー源として使えるように細胞内に取り込ませるので血糖値はだんだん下がって来ます。

  • ひなこ

    でも、食べすぎて血糖値が急激に高くなったり、甘いものをひっきりなしに食べて高血糖状態が続いたりするとインスリンが処理しきれなくなるわけですね。

  • ノン子

    鋭いわね、その通りよ。細胞に取り込まれなかった糖質が血液中を漂って、あちこちのタンパク質と結びついちゃうの。もちろん、人の身体には糖化されて変質してしまったタンパク質を分解する酵素があるのですぐには影響が出ないけれど、摂りすぎ生活が続いて糖化タンパクが溜まってくるとだんだん不具合が起きてくるのよ。

  • ひなこ

    そして、お肌のくすみ・シミ・しわ・たるみに…、と嘆いている場合じゃないです。あぁー、スイーツをガマンしなくちゃ!

溜めない生活をしよう ノン子さん

  • ノン子

    糖化予防のためには、まず食事の摂り方を工夫して高血糖を防ぎましょう。

  • ひなこ

    食事はしっかり、おやつは控えめですね。

  • ノン子

    それから糖質の 70 %は筋肉 で消費されるので、食後に軽く身体を動かすと良いのよ。食後 30 分ぐらいしてからのウォーキングがお勧めですが、食事の後片付けだって身体を動かすことになりますよ。

  • ひなこ

    り食べ過ぎを控えて適度に運動をする、そこに行き着きますか。確かにそういう生活が出来ている人ってお肌も若々しいですよね。

  • ノン子

    筋肉や内臓、血管や骨など も身体の大部分はタンパク質でできているから、糖化は身体中のどこででも起こるのよ。組織の老化を早め、動脈硬化、骨粗しょう症、白内障などいろいろな病気の原因となることがわかってきたの。最近では認知症の原因とも言われているわ。糖化を防ぐことはお肌だけでなく全身の健康のためになるのよ。

スキンケアでできること

  • ひなこ

    さて、私たちスキンケアを研究する者としては、食事や運動だけでなく、シミ・シワ・くすみを防ぐもっと積極的な方法をご提案したいですね。

  • ノン子

    そうね、そうくると思った! 何といっても洗浄と保湿によるターンオーバーの活性化ね。汚れを落とし、しっかり保湿してあげるだけでお肌本来の機能がだんだん回復して新陳代謝も良くなるのよ。

  • ひなこ

    ターンオーバーで糖化タンパクも押し出せるというわけですね。

  • ノン子

    時々ちょっと熱めの 42 ℃のお湯で温めながら洗顔したり蒸しタオルで温めるのも良いのよ。身体 を温めると ”熱ショックタンパク“が 出来てきます。このタンパクは変質した糖化タンパクを修復したり、分解して片づけてくれたりするので、 ”自己回復タンパク“とも呼ばれるの。

  • ひなこ

    温めるのって血行を良くするだけじゃないんですね。

  • ノン子

    最近はタンパク質の糖化を防いだり、糖化タンパクを分解する酵素を活性化させる成分も見つかっているから、化粧品への応用も増えてくると思うわ。

  • ひなこ

    私たちの研究にも力が入りますね!  やっぱり、ケーキ食べ放題を予約しようっと!

  • ノン子

    え… !?   本当に分かったのかしら…。

参考文献

  1. 八木雅之 髙部稚子 石崎 香 米井嘉一:糖化ストレスによる皮膚老化とその対策,FRAGRANCE JOURNAL,45(1),14(2017)
  2. 石神政道 森 亮太 八木雅之:皮膚糖化ストレスに及ぼす角層中酸化タンパク酵素活性の影響,FRAGRANCE JOURNAL,45(1),33(2017)
  3. 正木 仁:最近の抗老化アプローチと評価,FRAGRANCE JOURNAL,36(2),48(2008)
一覧へ戻る
pagetop